任意加入、追納

老齢基礎年金を受給するためには、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合わせた期間が25年(300月)以上ないといけません。さらに、満額の年金額を受給しようとしたら40年(480月)の納付済期間が必要となります。

様々な理由で未納期間があり、納付済期間が25年に満たなかったり、または免除期間が長くなって満額の条件である納付済期間40年を満たすことができない人に任意加入制度が用意されています。

また、任意加入しなくても一定期間遡って保険料を納め、免除期間を納付済期間にできる追納という制度もあります。ただし、免除期間に対してのみ追納ができるもので、未納期間については追納はできません。

任意加入には2つのタイプがある

任意加入には、受給に必要な保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間は満たしているが、納付済期間を増やして年金額を増額したい人向けの任意加入と、受給に必要な期間が足りないために加入する人向けの特例任意加入の2種類があります。

任意加入

例を3つあげて説明します。まず、例1は20歳~60歳未満の間に納付済期間が15年+13年=28年で、老齢基礎年金の受給資格はありますが、年金額を増やしたいために60歳~65歳未満の5年間、任意加入できます。そうすると、保険料納付済期間が33年となり、老齢基礎年金が増額されます。

例2のケースは、20歳~60歳未満の間の保険料納付済期間は15年+7年=22年で、受給に必要な期間が足りません。そこで65歳まで任意加入すると27年となるので、老齢基礎年金を受給できる資格が得られます。(実際には任意加入3年間で受給資格は得られます。)

最後の例3のケースは、20歳~60歳未満の間の保険料納付済期間は15年で任意加入の5年間を足しても25年に届かない場合、特例でさらに5年間の加入が認められます。しかし、その特例任意加入期間の途中で保険料納付済期間が25年になれば強制的に被保険者の資格を失います。

任意加入できる人はこんな人

  1. 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、被用者年金各法に基づく老齢給付を受けることができる者
    船員保険の年金受給開始年齢が生年月日によっては55歳からの人がいます。国民年金では老齢年金を受給できる人は被保険者になれませんから、改めて任意加入しなくてはいけません。
  2. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
    上記例1、例2がこの人たちに該当します。
  3. 日本国籍を有する者で、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者
    国民年金の強制被保険者は日本国内に住所がなければなりません。外国に住所がある人たちも任意加入の手続きを取れば、国民年金に加入できます。

特例任意加入できる人はこんな人

昭和40年4月1日以前に生まれた人で、次のいずれかに該当する人です。(ただし、老齢基礎年金、厚生年金や共済年金の老齢・退職を事由とする年金を受給できる人は除かれます。)

  1. 日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の人
  2. 日本国籍を有する人で、外国に住所を有する65歳以上70歳未満の人
    上記例3がこの人たちに該当します。

保険料の追納

追納できる月

追納という制度は、法定免除、全額免除、4分の1免除、半額免除、4分の3免除、学生納付特例、30歳未満納付特例によって保険料を免除された期間に対して、将来資力を回復したときにその期間の全部又は一部について、あとから保険料を納付できる仕組みです。

したがって、未納となっている期間については追納は認められていません。免除期間は追納ができ、学生納付特例、30歳未満納付特例を除いた免除期間は、老齢基礎年金額を計算する際に国庫負担分が加味されますが、未納期間は追納はできない、国庫負担はないということになりますので、なんとしても作ってはいけない期間です。

追納できる期間

追納ができる期間は、追納を申し出て承認された日が属する月の前月から10年以内に限られます。原則は学生納付特例または30歳未満納付特例から追納し、次に法定免除、全額免除、4分の1免除、半額免除、4分の3免除を追納しますが、学生納付特例または30歳未満納付特例より前にに法定免除、全額免除、4分の1免除、半額免除、4分の3免除がある場合はそれらを先に追納することもできます。

追納する保険料は、免除になった当時の保険料ではなく、政令(国民年金法施行令第10条)で定めた額を加算した額となります。具体的な数字は以下の通りです。

  • 平成15年度に属する月の保険料を追納:0.117
  • 平成16年度に属する月の保険料を追納:0.101
  • 平成17年度に属する月の保険料を追納:0.082
  • 平成18年度に属する月の保険料を追納:0.064
  • 平成19年度に属する月の保険料を追納:0.048
  • 平成20年度に属する月の保険料を追納:0.033
  • 平成21年度に属する月の保険料を追納:0.021
  • 平成22年度に属する月の保険料を追納:0.009

加算なしの追納

早く追納する人には特典があります。例えば上図のように、A年度1年間免除期間であったとすると、4月~2月分の追納をA+2年度の3月までに、3月分はA+3年度の4月までに行う場合は、上記の加算額は不要となり、当時の保険料の額を追納すればよいことになっています。

保険料の後納

保険料を追納できるのは免除期間のみですが、保険料未納期間についても保険料を納めたいという声に応えて成立したのが、保険料後納制度です。

ただし、この制度は平成24年10月1日から3年を経過する日(平成27年9月30日)までの間に、厚生労働大臣の承認を受けた場合に限り、保険料を納付できるものです。

サブコンテンツ

FX人気商品

このページの先頭へ