支給開始年齢

老齢基礎年金は、原則として65歳から支給されます。

もう少し詳しく言うと、65歳になった月の翌月から支給されます。年金給付は年金の受給権を生じた月の翌月からその状態が続いた月までとし、支払は2月、4月、6月、8月、10月、12月となります。その偶数月に支払われるのは前月までの2箇月分となります。(例えば、4月支払分は2月と3月の合計額)

65歳より早く年金をもらうことができます

老齢基礎年金の支給開始を60歳から64歳の間に請求すれば、年金額の全部または一部を繰り上げてもらうことができます。一部繰上に関しては厚生年金の老齢厚生年金と大きく係わってきますから、ここでは全部繰上について説明します。(一部繰上は、厚生年金の老齢厚生年金をご覧ください。)

全部支給繰上ができる前提条件は、保険料納付済期間または免除期間(学生納付特例、30歳未満納付特例による免除期間は除きます)が25年以上あることです。請求する日の前日においてこの条件をクリアしていなければなりませんが、次に該当する人は全部繰上げができないか、または全部繰上げの支給が停止されます。

  • 任意加入者
  • 昭和16年4月1日以前に生まれた人が国民年金の被保険者であるとき
  • 昭和16年4月1日以前に生まれた人が、全部支給繰上の老齢基礎年金を受給しているときに国民年金の被保険者になれば、その間は支給停止となる。

全部支給繰上をするとこうなります

  • 厚生年金の老齢厚生年金や共済年金の退職共済年金等を受給できる人は、老齢基礎年金と同時にそれらの年金も繰上支給となります。
  • 全部繰上支給をすると、本来もらえる年金額から減額された年金額となります。次の計算式で得られる減額率を年金額に乗じた額が減額されます。(昭和16年4月1日以前生まれの人は請求時年齢による別減額率があります。)

減額率=繰上請求月から65歳になる月の前月までの月数×0.005

例えば、2年早く年金をもらうとすると、24月×0.005=0.12が減額率となり、本来もらえる年金額の88%が繰上支給の年金額となります。

ここで疑問が湧くはずです。どっちが得なんだろう?繰上が得なら何年早くもらうのが一番得か?下表は年齢ごとの受給総額です。参考にしてください。ちなみに、現在の日本人の平均寿命は、男約79歳、女約86歳です。年金額は平成22年度額を使用しました。

繰上年数76歳77歳78歳79歳80歳
繰上なし9,505,20010,297,30011,089,40011,881,50012,673,600
1年繰上9,679,80010,424,40011,169,00011,913,60012,658,200
2年繰上9,758,00010,455,00011,152,00011,849,00012,546,000
3年繰上9,744,00010,393,60011,043,20011,692,80012,342,400
4年繰上9,632,00010,234,00010,836,00011,438,00012,040,000
5年繰上9,426,2009,981,30010,535,50011,090,00011,644,500

1年繰上では、80歳で繰上なしの合計年金額が上回り、同様に2年繰上は79歳、3年繰上は78歳、4年繰上は77歳、5年繰上は76歳という結果でした。女性は平均寿命から考えると、繰上は結果的には「損」であると言えます。男性の平均寿命は79歳なので、1年繰上は得と言えますが、2年以上の繰上は「損」であると言えるでしょう。

  • 上表でもおわかりのように、繰り上げして減額された年金額は一生減額されたままになります。
  • 付加年金を受給できる人は、老齢基礎年金の繰上と同時に繰り上げられ、同率で減額されます。(詳しくは「付加年金」をご覧ください。)
  • 振替加算は繰上支給されませんから、減額はありません。
  • 原則として、障害基礎年金は支給されません。(詳しくは障害基礎年金をご覧ください。)
  • 寡婦年金は支給されません。(詳しくは寡婦年金をご覧ください。)
  • 国民年金の任意加入被保険者にはなれません。

66歳以降に年金を受け取ることもできます

繰上支給とは逆に繰下支給を申し出ることもできます。66歳に達する前に老齢基礎年金の請求をしていなかった人ができる制度です。ただし、次の人は繰下の申出はできません。

  1. 65歳に達したときに他の年金給付(付加年金を除く=障害基礎年金、遺族基礎年金年金)もしくは被用者年金(厚生年金や共済年金等)の年金給付(老齢または退職年金を除く=障害、遺族年金)の受給権者であったとき
  2. 65歳に達した日から66歳に達する日までの間に他の年金給付(付加年金を除く=障害基礎年金、遺族基礎年金年金)もしくは被用者年金(厚生年金や共済年金等)の年金給付(老齢または退職年金を除く=障害、遺族年金)の受給権者になったとき
  3. 66歳に達した日後に他の年金給付(付加年金を除く=障害基礎年金、遺族基礎年金年金)もしくは被用者年金(厚生年金や共済年金等)の年金給付(老齢または退職年金を除く=障害、遺族年金)の受給権者になったときは、その日に支給繰下の申出があったものとみなされます。

繰下支給

繰り下げるとこれだけ増額します

繰上の減額率より高い増額率になりますが、繰り下げた月数には「60月」という上限があります。増額率の計算式は次の通りです。

増額率=受給権取得月から繰下申出月の前月までの月数×0.007

  1. 付加年金を受給できるときは、同時に繰り下げられ、同率で増額されます。
  2. 振替加算の増額はありません。(振替加算の開始は繰り下げられた老齢基礎年金の支給開始と同時になります。)
  3. 昭和16年4月1日以前生まれの人に対するには、別の増額率が適用されます。
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