被保険者

厚生年金保険は、原則として事業所または船舶単位に適用され、強制適用事業所と任意適用事業とがあります。会社員はすべて被保険者になれるかと言えば、そうとは限りません。業種や従業員の数によっては強制適用事業所とならない事業所に勤務していれば、被保険者になれない場合もあります。

強制適用事業所と任意適用事業所

業種と従業員の数で強制適用事業所か任意適用事業所が決まります。

業種等適用事業非適用事業
規模法人等個人法人等個人
5人以上
1人以上5人未満

○=強制適用事業所、△=任意適用事業所、法人等=国、地方公共団体または法人、非適用事業=農林水産業、畜産業、サービス業、法務、宗教

船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者が乗り込む船舶は強制適用事業所となります。

強制適用事業所に使用される従業員は、被保険者になる資格がない人を除き、加入意志の如何を問わず厚生年金に全員加入しなければなりません。

任意適用事業所は、厚生年金保険への加入に関して、事業主の加入申請と従業員の加入同意があれば、適用事業所となることができます。ただし、被保険者になる資格がない人を除き、加入に反対した従業員も含めて一括して加入することになります。また、これとは反対に、従業員の同意を得て事業主が申請すれば適用事業所を取り消すこともできます。

適用の認可=被保険者資格のない従業員を除いた従業員の2分の1以上の同意が必要

適用の取消=被保険者資格のない従業員を除いた従業員の4分の3以上の同意が必要

被保険者について

厚生年金保険への加入は、原則として適用事業所に使用されたときから70歳未満(70歳になる前の日)までとされていますが、適用事業所に使用される人でも厚生年金へ加入できない人、任意適用事業所に使用される人でも厚生年金保険へ加入できる人、70歳以上でも厚生年金保険の被保険者を継続できる人などを紹介します。

こんな人も被保険者になれる

  1. 法人の代表者、業務執行者(法人から報酬を受けている者は法人に使用されている者とされるから)
  2. パートタイマーであっても、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上の人(※1
  3. 学卒後就職予定先の適用事業所で職業実習を受けている人
  4. 適用事業所に使用される70歳以上の人(※2
  5. 適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の人(※3
  6. 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の人(※4

※11週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上に該当しない人でも、次の5要件を全て満たせば被保険となります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 雇用期間が1年以上見込まれること
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

※2原則として70歳になれば被保険者の資格を喪失しますが、70歳以後になっても老齢・退職を支給事由とする年金の受給権を有しない場合は、受給資格期間を満たすまで任意加入することができます。(これを高齢任意加入被保険者といいます。(※3)も同様です。)
この場合、原則として保険料は被保険者が全額負担し、納付も被保険者本人でしなければなりません。ただ、事業主が同意すれば、保険料半額負担と納付義務は事業主が負うことになります。

※3上記(※1)と違うところは、被保険者になろうとするとき必ず事業主の同意を必要とすることです。したがって、事業主は保険料の半額を負担し、納付も行わなければなりません。

※4適用事業所以外の事業所の従業員で、厚生年金保険に加入することを希望する人は、その人単独で加入することが可能です。しかし、それには事業主の保険料半額負担と保険料納付義務の同意が必要です。これを任意単独被保険者といいます。

こんな人は被保険者になれない

  1. 公務員、共済組合の組合員、私学共済制度の加入者(共済に加入するため)
  2. 臨時に使用される人で、日々雇い入れられる人(ただし、1ヶ月を超えて引き続き使用されることになれば、超えた日から被保険者となる)
  3. 臨時に使用される人で、2ヶ月以内の期間を定めて使用される人(ただし、所定の期間を超えて引き続き使用されることになれば、超えた日から被保険者となる)
  4. 所在地が一定しない事業所に使用される人(サーカスなどの巡業興行)
  5. 季節的業務(酒造、製茶など)に4ヶ月以内の期間を限って使用される人(ただし、最初から4ヶ月を超えて使用されるときは、初めから被保険者となる)
  6. 臨時的事業(博覧会など)に6ヶ月以内の期間を限って使用される人(ただし、最初から6ヶ月を超えて使用されるときは、初めから被保険者となる)
  7. 厚生年金保険に相当する外国の法令の適用を受ける人

2,3,5において、船舶者に使用される船員は1日でも被保険者となります。

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