雇用保険との調整

以前は、老齢厚生年金と雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)を同時に受給できましたが、両方の給付を受けると結構な額になり、就業意欲を阻害する、老齢厚生年金はリタイヤしてからの所得保障であって雇用保険の目的とは相容れない、などの理由で雇用保険との調整を行うようになりました。

この項では、雇用保険の「基本手当」、「高年齢雇用継続給付」を説明します。(雇用保険を詳しく知りたいときは、姉妹サイト失業生活マニュアルをご覧下さい。)

雇用保険の基本手当との調整

基本手当とは?(概要)

雇用保険において、被保険者期間、資格喪失前6ヶ月間の賃金、離職理由に応じて支給される失業等給付です。失業している期間、28日に1回の割合で失業認定申告書を提出して、失業状態であると認定されれば基本手当が支給されます。

特別支給の老齢厚生年金と基本手当との調整対象期間
老齢厚生年金と基本手当との調整

65歳未満の老齢厚生年金の受給権者が、雇用保険法の規定による求職の申し込みをしたときは、その翌月から次のいずれかに該当する月までの各月において、老齢厚生年金の至急が停止されます。

  • 受給期間が経過したとき
  • 所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わったとき(もしくは、延長給付が終わったとき)

基本手当を受けている人が、65歳未満の老齢厚生年金の受給権を取得したときは、その翌月から調整が始まります。

支給停止が解除されるとき

調整期間中、基本手当を受けたとみなされる日(※1)またはこれに準ずる日(※2)が1日もない月、または在職老齢年金のしくみによって老齢厚生年金の全部または一部が支給停止されている日があったときは、その月分の老齢厚生年金は支給停止されません。

基本手当を受けたとみなされる日

※1実際に基本手当を受けた日ではなく、失業認定日(基本手当てが支給される日)が失業認定日の前日まで連続しているとみなしているとされる日をいいます。

※2求職の申し込みをしてから7日間の待期期間、就職・職業訓練の受講拒否による給付制限期間、職業指導拒否による給付制限期間、離職理由による給付制限期間がこれに該当します。

事後精算
事後精算

調整期間中、基本手当を受けたとみなされる日、またはこれに準ずる日が1日でもある月は、老齢厚生年金の支給は停止されますが、同じ1ヶ月で、1日しか基本手当を受けていない人と29日基本手当を受けた人とが同じ扱い(その月は老齢厚生年金が支給停止される)というのは公平ではありません。

そこで、調整期間が終了した時点で、実際に基本手当を受けた日数を月に換算して事後精算する制度があります。これによって、支給停止された老齢厚生年金の一部が支給されることがあります。その支給停止を解除する計算式は次の通りです。

支給停止解除月数=年金停止月数-基本手当を受けた日数÷30

この場合の「基本手当を受けた日数」は、基本手当を受けたとみなされる日に準ずる日(待期期間や給付制限期間)を基本手当を受けなかった日として計算されますから、実際に基本手当を受けた日のみで算出します。また、「基本手当を受けた日数÷30」の結果、1日未満の端数が出た場合は1日に切り上げます。

雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整

雇用保険法の「高年齢雇用継続給付」の規定により「高年齢雇用継続基本給付金」(または「高年齢再就職給付金」)を受給できる人は、老齢厚生年金との間に支給調整が行われます。

高年齢雇用継続基本給付金とは?(概要)
高年齢雇用継続基本給付金

雇用保険の被保険者であった期間が5年以上の被保険者が、60歳以後基本手当を受けることなく60歳到達時の賃金の75%未満で就労しているときに支給される給付金です。ただし、支給対象月に支払われた賃金が一定限度額以上の時は支給されません。

みなし賃金日額とは、60歳になった時点での直近の6ヶ月間の賃金合計を180で割った金額をいい、それに30(日)をかけると月額となり、それを便宜上毎月の賃金の平均額として計算に使用します。

支給対象月の賃金が、みなし賃金日額×30×61%未満である場合は支給対象月の賃金の15%が給付され、みなし賃金日額×30×61%~75%未満なら支給対象月の賃金の15%~0%が支給されます。ただし、賃金日額の最低限度額の80%を超えないときは支給されません。

65歳未満の老齢厚生年金受給権者が、高年齢継続雇用基本給付金を受けることができるとき、「在職老齢年金のしくみで支給停止される額」(支給停止基準額)と、次に紹介する式によって算出される額に12をかけた額との合計額(調整後の支給停止基準額)が、支給停止されます。ただし、調整後の支給停止基準額が加給年金額を除いた老齢厚生年金本体額以上の場合は、加給年金も含めて老齢厚生年金は全額支給停止されます。

標準報酬月額<みなし賃金日額×30×61% の場合
調整額(イ)=標準報酬月額×6%
標準報酬月額≧みなし賃金日額×30×61% の場合
調整額(ロ)=標準報酬月額×厚生労働省令で定める率()
イ(またはロ)×15/6+標準報酬月額>高年齢雇用継続給付の支給限度額 の場合
調整額(ハ)=(支給限度額-標準報酬月額)×6/15

()次の計算式で率を求めます。
(0.0915÷0.14)×(みなし賃金日額×30×0.75÷賃金額-1)

高年齢再就職給付金とは?(概要)

雇用保険の被保険者であった期間が5年以上の被保険者が、基本手当の支給を受けたことがあり、60歳以後安定した職業に就くことにより被保険者となったとき、離職前の賃金の75%未満で就労している場合に支給されます。なお、就職日の前日において、基本手当の支給残日数が100日以上の人に適用されます。また、再就職後の賃金が一定限度額未満でなければ適用されません。

基本手当の支給残日数が200日以上の人は、就職日の翌日から2年間、100日以上200日未満の人は就職日の翌日から1年間、高年齢再就職給付金が支給されます。支給額の算出は「高年齢雇用継続基本給付金」と同じです。

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