支給開始年齢引き上げ論議

厚生労働省が厚生年金及び国民年金の老齢年金支給開始年齢を引き上げる案を政府に提出しました。日本の年金制度が今後継続して運営できなくなる前兆であり、根本的な年金制度の改革が急務となります。しかし、かといってすぐにどうこうできるものではありません。では、厚生労働省が提出した年金支給案とはどういったものでしょう?

3案あり、1.支給開始年齢を68歳に引き上げる、2.現在支給している特別支給の厚生老齢年金の支給開始年齢を3年に1歳ずつ引き上げているのを2年に1歳引き上げることとし、特別支給の厚生老齢年金の支給を4年早く終了させる、3.1と2の案を合体させる、となっています。どうも厚生労働省は第2案に落としどころを持っていきたいようです。その第2案を説明します。

支給開始年齢引き上げ

60歳から64歳まで支給されている年金は特別支給の老齢厚生年金です。老齢厚生年金は以前55歳から支給されていましたが、次第に支給開始年齢が引き上げられ現在は60歳から支給となっています。しかし、その特別支給の老齢厚生年金も平成6年の改正により定額部分支給開始年齢を引き上げて、昭和24年4月1日までに生まれた男子(女子は昭和29年4月1日まで生まれ)が64歳の1年だけ支給されるのを最後に支給はなくなります。また、平成12年の改正では、昭和28年4月2日以後生まれた男子(女子は昭和33年4月2日)は報酬比例部分の支給を61歳からとし、3年ごとに1歳ずつ支給開始年齢を引き上げて昭和36年4月2日生まれ以後の男子(女子は昭和41年4月2日)については特別支給の老齢厚生年金は支給されないこととなりました。

上図の赤い破線は平成23年10月現在の年金受給状況を示しています。昭和26年4月1日までに生まれた男子はすでに特別支給の老齢厚生年金を受給済あるいは受給中です。さらに、昭和26年月2日~昭和27年4月1日生まれの男子も受給中ですが、昭和27年4月2日~昭和28年4月1日生まれの男子も60歳から受給する同じグループに入っています。厳密に言えば昭和27年生まれの男子は現在進行形で60歳を迎えています。つまり、この生年月日の枠組みは崩せないので、これから受給する年齢になる昭和28年4月2日以後生まれの男子のグループに手を付けて2年をひとくくりにしていたものを1年ごとに支給開始年齢を引き上げ、昭和32年4月2日以後生まれの男子には特別支給の老齢厚生年金は支給しないというのが第2案です。

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