標準報酬月額偽装のしくみ

社会保険事務所の手引き(?)で標準報酬月額を不正に引き下げて、厚生年金保険料の徴収率をアップしたようにみせかける偽装が問題になっています。では、厚生年金の被保険者はどういう不利益を被るのでしょう?

厚生年金の保険料は被保険者と事業主が折半して納めています。例えば、平成21年8月までの保険料率は15.35%ですから、被保険者、事業主はそれぞれ7.675%ずつ負担することになります。被保険者は給料から天引きされ、事業主は被保険者負担分と事業主負担分の保険料を社会保険事務所に納めます。

標準報酬月額が30万円の被保険者に関しては、46,050円が保険料ですから各々23,025円を負担することになります。ところが、社会保険事務所と事業主が結託して、不正に標準報酬月額を15万円に引き下げる処理をしてしまうと、保険料は23,025円になります。そうすると、標準報酬月額が30万円の時と比べて被保険者負担分にしかなりません。事業主は給料天引き分だけを納めれば、保険料を滞納せずに済むわけです。

老齢厚生年金の額は、保険料を納めていた期間の標準報酬月額を平均したものを基礎として算出されますから、標準報酬月額30万円における被保険者負担額を支払っているにもかかわらず、実際は標準報酬月額15万円として記録されます。この不正が長期間に渡ると受け取れる厚生年金の額が激減してしまいます。

年金特別便で被保険者期間をチェックしても安心はできません。うちの社長は怪しいな、と感じたら社会保険事務所へ行って、標準報酬月額を調べてもらいましょう。

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